小説の記録

ちょっとした感想の記録

災厄の町(新訳版)

やっと読めました〜。ライツヴィルシリーズはどれから読んでも大丈夫ですがやはり災厄の町から読めばよかったと少しだけ後悔しました。

ライト家のノーラとの結婚式前日に姿を消したジム。そのジムが三年経って突然ライツヴィルに戻ってきました。彼の帰りを待っていたノーラと無事に式をあげてこれから幸福な日々が始まろうかというところ、ジムの荷物を整理していたノーラは三通のまだ送られていない手紙を見つけます。その内容は妻の死を知らせる文面でした。旧家で起きた毒殺事件にエラリーはどう挑んでいくのか。


ライツヴィルシリーズの中でも高評価というこの作品。個人的にはミステリーとして微妙でした。もっとトリック的なものが欲しいですね。このシリーズは事件が起こるまで長いと思いましたが気のせいでしょうか。しかし全体的に微妙だと思っても最後まで話に飽きるということはないので不思議です(笑)

ということでライツヴィルシリーズのなかでは『フォックス家の殺人』が一番好きでした〜!

葬儀を終えて(新訳版)

ビッグ4に引き続きクリスティー作品。

アバネシー家の当主・リチャードの葬儀が終わり遺言公開の席上で末の妹のコーラが放った「だって彼は殺されたんでしょ?」という一言で状況は一変。翌日、コーラは遺体で発見される。コーラは口封じのために殺されてしまったのか。リチャードの遺言執行人のエントウィッスルはポアロに相談し、ポアロが捜査にのりだす。

これは面白かったです!最後まで全員があやしく見えました。この事件のポイントはリチャードの死とコーラの死に関連があるのかということ。コーラの発言の意図は何かということ。登場人物同様にコーラの発言をすっかり信じていたので皆動機があるように思え犯人が全く分かりませんでした。最初から思考が違う方向へ向かっていたので最後にポアロがみんなを集めて謎解きをするところは意外なことがたくさんありとてもワクワクしながら読み進めました。これはクリスティーランキング上位に入りますね。

ビッグ4

ポアロとヘイスティングの元に謎の客が訪れるがうわの空で4という字を書くだけ。そしてその客はポアロ達が少し離れた間に抹殺されてしまう。こうしてビッグ4と呼ばれる謎の犯罪集団とポアロ達の対決が始まるが、ポアロ達はビッグ4に次々としてやられてしまう。果たしてこの犯罪集団を止めることができるのか......。


率直な感想としては、今まで読んだクリスティーの中で1番微妙!と思いました。一応続きは気になるしページをめくる手は止まらないからつまらないという訳ではないですが、なんというかこれは本当にポアロ??という感じでした。ビッグ4にしてやられすぎというか、ポアロの活躍がヘイスティングを助けるところぐらいだったように感じます。今までと比べてしまったからかもしれませんが。丸く収まりましたが結局ビッグ4を捕まえた!という訳でもなく驚愕のラストって感じでもなかったなと思いました。

46番目の密室

今回は有栖川有栖の火村シリーズ第一作目を読んでみました。

推理小説の巨匠・真壁氏が開催する小説家や編集者が集まる恒例のクリスマスパーティーが開かれます。クリスマスの夜、パーティーもお開きになり皆が部屋に戻ると二階に泊まる全員の部屋の中に奇妙なイタズラがされていました。また、怪しい人物が家の外で目撃されていましたがその日の深夜、密室の書斎でその怪しい人物が殺害されていました。そして書庫でも殺害された真壁氏が見つかりましたが書庫もまた密室でした。この二件の密室殺人はどうやって行われたのか、また不審な点もいくつかあり臨床犯罪学者の火村と推理小説作家のアリスは現場を見て事件解決に挑みます。

感想としては、

事件が起こるまで少し時間がかかりました。人によってはもう少しはやい展開が良いというかもしれません。物語は火事の話から始まりその時殉職した消防士のことなどが書かれています。殺害現場も暖炉で燃やされていたりと火と関係あるかのように思いましたが全く違う展開でした。殉職した消防士の息子が怪しいと思いましたが犯人は意外な人物で動機も意外でした。また、あのイタズラは犯行を意味するものかと思いましたが意外な意味がありました。トリックは自力では解けず、火村の解説を聞いてなるほど!とスッキリできるものでした。

幻の女(新訳版)

ウィリアム・アイリッシュがおすすめと聞いたので本屋さんで見つけた『幻の女』を読んでみました。

妻のマーセラと喧嘩し、イライラしながら歩いていたスコット・ヘンダースンはなんとなく入ったバーで変わった形の帽子を被った女と出会う。2人は食事を共にし、劇場へ行き、出会ったバーで一杯飲んでから別れる。そして帰ったスコットを待っていたのは何者かに殺害された妻と刑事たちだった。スコットのアリバイを証明できる女を探すがスコットと女が一緒に居たのを見た人は誰一人いない。果たしてスコットはどうなるのか......。

まず感じたのは書き出しの一文や表現がとても印象的でした。刑事がスコットを逮捕した後にやっぱり何かおかしいのではないかと気づいたところから話が進んでいきます。女が取る行動が意味ありげに感じ、スコットと一緒にいたけど何かトリックがありこの女の人が怪しいのではないかと思いましたが全然違いました。また、証言出来そうな人が殺され違う人を疑いましたがそれも違いました。ミステリーは好きですがいつもほとんど推理できません(笑)

最後の加速感がすごく(良い意味で)ハラハラ・ドキドキしながら楽しめました。

ポアロシリーズ 現在の個人的ランキング

読んだポアロシリーズを自分の中でランキングにしてみました!

1.五匹の子豚

2.白昼の悪夢

3.雲をつかむ死

4.杉の柩

5.メソポタミヤの殺人

6.ABC殺人事件

7.スタイルズ荘の怪事件

8.死との約束

9.アクロイド殺し

どれも面白いのでランキング付けが難しすぎました。これから読む作品が増えたらもっと難しそうです。アガサ・クリスティーの書く恋愛が絡むミステリーは感情の描写が上手くてとても面白くて引き込まれるので是非読んでみてください。

雲をつかむ死(新訳版)

前回に引き続きアガサ・クリスティーの作品です。

 

パリからロンドンへ向かう飛行機の中で死体が発見されます。死体から針で刺されたような痕が見つかり、蜂が機内を飛んでいたことから蜂に刺されて死亡したと思われたものの、ポアロが毒針が落ちているのを見つけ事件へと変わります。そしてなぜかポアロの座席から吹き矢が見つかり危うく疑われかけます。全く目撃者もいない中で吹き矢の毒針で刺され死亡したと思われる女性と容疑者の十二人(ポアロを除くと十一人)…。果たして事件はどのように解決するのか。

 

今回の事件はかなり序盤で女性が死体となって発見されます。飛行機の中という密室で事件が起こったものの目撃者はいなく犯人も特定できずに審問は終わり、その後ポアロは何人かを訪ねて話を聞きます。またポアロジャップ警部に容疑者の持ち物リストを作成してほしいと頼みます。

持ち物リストや被害者の手帳のメモ、ポアロが聞いた話の中におそらくここが重要だなと思う部分はありましたが、私の推理力では犯人まで辿り着けず…。しかし持ち物リストで怪しいと思っていたものが当たり満足しました(笑)

 

事件の真相に迫っていく感じが終盤になるにつれてペースアップして楽しく読めました。今のところの私の中ではかなり上位に入る面白さです!おすすめです。